空想アトリエ

私の世界を空想アトリエと呼んでいます。

左様なら

空想アトリエ no.86
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「さようなら」漢字で書いたことがなかったのでこう書くんだと初めて知った。

昨晩、U-NEXTの無料期間が最終日だったので、何を観ようかと迷ってこの映画にした。

とてもとてもよかった。感想をあれこれ書けない。いい映画にいい映画だ、というほかこれ以上の褒め言葉がある??って私の友人が前に言っていた。そこはあるバーで私の隣で真っ直ぐな瞳をして、そう言った彼女にとても惹かれた夜を覚えている。

そのバー(とき)にいた彼女ともうひとりの女性に、同じような内容の手紙を書いた。そばにいたら珈琲でもお茶でもしながら話すようなことを、最近は63円の切手を貼ってポストに投函している。

 

15分間

空想アトリエ no.85
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昨日は1日お休みだった。ゆっくりだらだらしているうちに1日は終わってしまった。それでも映画を2本、U-NEXTで観た。

今日は出勤だ。パン屋の母と同じ時間に出て少し時間があるので喫茶店で時間を潰そうと思っていたところ、ぼんやりしていたら乗り換えの方面を間違えてしまった。仕事のことを考える前に珈琲時間を気にした。いい意味でこころが強ばっていない。余裕のありすぎるのはかえって不安だけれど、多少の余裕は必要かなぁと思う。

改札を出てすぐの喫茶店にたどり着き一息ついているところ。あまり時間がない。でも必要な15分。今朝からずっと星野源を聴いている。古めのほうのアルバムの気分。

この間観た、「ジュテームモアノンプリュ」は土日、お客さんの入りがよくてなんだか嬉しかった。今日も仕事が楽しみだ。○

インドの刺繍かばん

空想アトリエ no.84

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日曜の朝だ。変わらずいつも通りの時間に起きて、シャワーも浴びて準備も終えた。壁掛けのCDプレイヤーで音楽を流して、母のパン屋のサンドイッチとあたたかい珈琲をいつものマグに入れて部屋で朝食をのんびり取った。

余裕な朝を過ごして、7時の電車に乗り込んだ。日曜日なので少しだけすいたホーム、それでもスーツを着たサラリーマン達はまばらに立っていた。最近は席が横並びの電車もあるけれど、鹿児島本線といえば赤いなんとも言えない柄のシートに縦並びの席だ。向かい合う席が空いていたので、進行方向側に座った。

うとうといつの間にか眠っていたのか、向かいに座る女性に足があたってしまった。すると向こうから今にも言いたかったと、そちらのかばんがかわいくてかわいくて、とわたしの膝上にあるかばんを褒めてくれた。エスニックのお店で買った、インド製のお花とか模様の刺繍がたくさん入ったピンクのかばん。

洋服にあまり興味がないので、私服は適当だ。出勤にはシンプルなブラウスとジーンズを着ていくことにしているので、3着のブラウスと2着のジーンズを代わる代わる着ている。パターソンのようだ。考えなくていい。とても楽。

洋服がシンプルなので少し派手なそのかばんを使っていた。すべて手縫いなんて凄いですよねなんて話すことがあるなんて思いもしなかった。

その女性は白い髪を綺麗に整えていた、ドット柄のスカートを身に付けていて、私もそのスカートが素敵ですねと言いたくなったけれど、言えなかった。褒められたら褒めて返す、あとで思い立って、あとでそのスカートにも気づいたので言わなかった。いいなと思ったときに褒められるひとに私もなりたいな。

勇気とかじゃなくて、気づくこと。知っているけれど、なかなか。ね。

ときめき指先

空想アトリエ no.83

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今日から電車通勤になった。JRと地下鉄を乗り継いで行くのは、乗り換えのないのろのろと走るバスよりも早い。家を出る時間も少しは遅くなるし、起きる時間もあまりに早くなくていい。バスにしていたのは、なるべく人混みを避けたかったからだ。ずっと座っていられるし、都合がよかった。

けれど、もう人混みにも慣れた。というか最近は人の波に安心する。ひとりじゃない。一体ひとりになりたいのかなりたくないのか、私は矛盾ばかりでよくわからない。

仕事帰り、妹のサロンへネイルモデルの約束をしていたので向かった。またも少し時間があまって、すぐ近くに古くてとてもいい喫茶店を見つけた。一時間ほど過ごして、サロンへ向かった。

わたしの爪は短いし、ギターを弾きたいのであまり爪は伸ばしたくない。こんな小さな爪でも妹はとても可愛くしてくれる。指先が綺麗になると心も少しだけ晴れやか。デートの前にマニキュアを塗るよう。少しだけ恋がしたいな。今はいいかな。またも矛盾ばかり。

甘すぎたマリトッツォ

空想アトリエ no.82

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職場の映画館へ、映画を観に行った。なんとなく映画館で映画を観たい気分だった。

映画を観る前、少し時間があったのでカフェに寄って一時間ほど時間を潰した。アイスコーヒーとショーケースに綺麗に並ぶマリトッツォというお菓子が美味しそうに見えて注文した。

昨日atmで通帳の確認をした。思っていたよりも少しだけ多くお給料が入っていて、財布のひもが緩んだ。お金があるのは心の安定だ。

ひとり分の小さな席でぼんやりした。少し前に届いた手紙の返事に便箋と封筒を用意していた。思うようにすらすらと書けた。マリトッツォは甘すぎて半分くらい残して捨ててしまった。

観た映画は、フランスの美しい風景や軽やかな愉快な音楽が流れていたものの、女性の愛ゆえの痛みに怖くて怯えてしまった。

その後、映画館で晴らせなかったもやもやをお店をぶらつくことで分散させた。

お腹が空いていたので行きつけの喫茶店へ行く前に真向かいのサイゼリアで腹ごしらえしてから行こうとした。喫茶店でご飯は高いから、。結局300円のドリアだけのつもりが、エスカルゴのアヒージョも頼んだ。400円。ワインも頼みそうになったが辞めた。ちゃんと書き物をしたい気分だった。手持ちのノートをちぎって友人に手紙を書いた。内容はぐちゃぐちゃなへんてこな手紙になってしまった。手紙が送れる場所があるのは有りがたいことで、居場所があるみたい。書き終えたあとには気持ちは少し楽になっていた。

1日雨は止まないまま、赤い花柄の傘を行く先々で忘れてしまわないように手元に注意を払った、わたしの休日。

孤独と駆け落ちた。

空想アトリエ no.81

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また、snsが嫌になって、色んな繋がりをシャットダウンしてしまった。

こうすると、私のもやもやした心は少しは解放される。身勝手なやり方だ、まだ不器用で乱暴なやり方でしか自由になれない。そしてこれで自己嫌悪に陥るのはもっと身勝手だ。すっきりしているのでこれでいい。今はそう私に言い聞かせている。

昨日は休日だった。早起きにも慣れたのか、休日でも9時には目が覚めた。なにもやる気が出なかったのでだらだらこのまま過ごそうとしていたところ、妹に海へ行かないかと誘われて半分乗り気では無かったものの行くことにした。

私の家の坂を降りたところにはすぐ海がある。その海ではなく、地元だけれど少し離れた海へと妹の車は向かった。一本道をずっとまっすぐ、小学校や昔家族で住んでいたアパートを越えてずっとまっすぐ。駅とは真逆なのでこちらのほうへ来たのは数年ぶりだった。途中の道の駅は祖母が生きていたとき、よく行った。懐かしいと言い合いながら、お弁当ひとつずつ買って、その道の駅を少し行ったところにある懐かしい海へと向かった。

その海は母とよく来た海だ。母はよく私たちふたりを連れてこの海まできた。母は近くにある海ではなくわざわざこの離れた海へ来て私たちにお弁当を食べさせたりしていた。

風が強くて少し荒れた海、誰もいなくてひっそりとした海の先に広がる薄い雲り空が広々と広がってどこか遠くへと来た、気がした。

波打ち際までいくと、荒れてみえた波は静かにこちらへ来ては、去っていった。とても静かで裸足の指先に砂が妙な心地で埋もれていった。

思えば私たちは堤防に座るだけだった。母が濡れた服や砂まみれの足で車に乗るのを嫌ったので私たちは大人しくふたり並んで足をぶら下げて落っこちないようにして遊んでいた。

ぼんやりとても曖昧だけど幼い頃の記憶、私は最近まで母とうまく話せたことがなかった。仲が悪かった訳でもなく、ただいつも気を使ったし、気を使わせてはいけない気もしていた。

当時の母と私は今同じ20代だ。今の私に子供がいて家庭があるのはどんな心地だろう。

きっと逃げ出したいときだってあっただろうな。

帰りの車で、そんなことを妹と話したりした。私たちは大人になって、ようやく少しだけ親の気持ちに近づけた気がしている。